こちらは、1986年にスイスで製造された永久盟約(リュトリの誓い)1/10オンス金メダルです。スイスの大手貴金属精錬会社Argor-Heraeusによって製造された純金(.9999)製のメダルで、NGCにて数値上の最高評価であるPF70 ULTRA CAMEOを獲得している、極めて状態の良い一枚です。
女神ヘルヴェティアと、山湖を望む3人の誓い
表面には、スイスという国家を女性として擬人化した象徴である女神ヘルヴェティア(Helvetia)が、盾を傍らに置いた坐像として描かれています。ヘルヴェティアは19世紀以降、スイスの貨幣や公的な図案に繰り返し登場してきた、いわば「スイスそのもの」を体現する存在です。
裏面には、山と湖を背景に、右手を掲げて盟約を誓う3人の代表者の姿が描かれています。これは、スイス建国伝承として知られる「リュトリの誓い(Rütlischwur)」の場面と考えられています。
ルツェルン湖を見下ろす草地リュトリにおいて、ウーリ、シュヴィーツ、ウンターヴァルデンの三邦の代表が、ハプスブルク家の支配に対抗し、互いに助け合うことを誓ったという伝承です。1291年8月初旬に結ばれたとされる連邦憲章、いわゆる「永久盟約」とともに、スイス建国の原点として語り継がれています。
「建国神話」としてのリュトリの誓い
リュトリの誓いは、史実として確認された出来事というより、後世に形成された建国伝承としての側面が強いとされています。一方で、スイスの国民統合を象徴する物語として広く浸透し、現在も8月1日のスイス建国記念日と深く結びついています。
8月1日は、1291年の連邦憲章を記念する日として定められ、リュトリの草地でも記念式典が行われています。
このメダルは、スイスという国家の成立をめぐる物語を図案化し、スイスの国民的アイデンティティを象徴する主題を表現した一枚といえるでしょう。
※歴史的背景に関する記述は、参考文献に基づく一般的な見方を紹介するものです。






