こちらは1930年11月2日、エチオピア皇帝ハイレ・セラシエ1世の戴冠を記念して製作された、歴史的な金メダルです。
ハイレ・セラシエ1世は、伝承上ソロモン王とシバの女王を祖とするとされるソロモン王朝最後の皇帝として知られ、その戴冠式には世界各国から王族や外交使節が参列し、大きな国際的注目を集めました。
表面には、戴冠衣装をまとったハイレ・セラシエ1世の左向き肖像が描かれています。その肖像の背後には、20世紀フランスを代表するメダル彫刻家、アンドレ・ラヴリリエ(André Lavrillier)のサインが刻まれています。
アンドレ・ラヴリリエは、人物の表情や衣装を立体的かつ繊細に表現する作風で高い評価を受け、数多くの記念メダルや美術メダルを手がけた名匠です。その名は美術メダルの世界では作品価値を支える重要な要素の一つとされており、本品は歴史的資料であると同時に、優れた彫刻作品としての魅力も兼ね備えています。
また、本品と同シリーズにはラヴリリエのサインが刻まれていないタイプも存在します。そのため、本品のように作者自らのサインが明瞭に確認できる個体は、作品の作者性が明確に示されたバリエーションとして、美術メダルのコレクターからも高く評価される見どころの一つとなっています。
裏面には、エチオピア皇帝の国章を中心に、ソロモンの玉座、二人の天使、王冠付きマント、月桂樹の枝が精緻に表現されています。ソロモンの玉座は、皇帝がソロモン王とシバの女王の血統を受け継ぐという王朝の伝統を象徴しています。
本品は世界的鑑定機関PCGSによりMS61の評価を受けた正規鑑定品です。重量は16.24g、直径は30.5mm。ラベルには「Bruce X-18 / Gill S12 Coronation」と記載されています。
また、本品はオークションカタログにおいて「Fonte(鋳造)」と記載されており、一般的な打刻メダルとは異なる製法による作品です。彫刻作品を思わせる立体感や柔らかな造形表現が特徴で、美術メダルとしての高い魅力も兼ね備えています。
ヨーロッパ王室の戴冠メダルは比較的市場でも見かけますが、エチオピア帝国最後の皇帝を題材とした本格的な戴冠金メダルは流通数が限られており、国際市場でも目にする機会は決して多くありません。
本品は世界的鑑定機関PCGSよりMS61(Mint State 61)の評価を受けた正規鑑定品です。PCGSのPopulation Report(鑑定分布データ)では、本品と同グレード(MS61)の鑑定枚数は世界でわずか1枚、さらに上位グレードも2枚のみとなっており、PCGS鑑定品の中でも世界トップクラスの希少性を誇ります。また、PCGS Gold Shieldホルダー(NFC搭載)に収められており、鑑定情報や真正性を容易に確認できる点も、安心して保有できる魅力の一つです。
アンティークコイン・メダルの市場価値は、一般的に「希少性」「保存状態(グレード)」「歴史的・芸術的価値」、そして国際市場での需要によって形成されます。本品は、ハイレ・セラシエ1世の歴史的戴冠、ソロモン王朝の伝統、アンドレ・ラヴリリエによる芸術性、そしてPCGSによる高い評価を兼ね備えた作品であり、歴史的価値を楽しむコレクションとしてはもちろん、長期的な視点で収集対象とされる歴史的メダルの一つです。
ハイレ・セラシエ1世は、エチオピア皇帝としての功績だけでなく、20世紀にジャマイカで誕生したラスタファリ運動において特別な存在として受け入れられました。その思想は世界的なレゲエ文化の発展とともに広まり、Bob Marleyをはじめとする多くのレゲエ・アーティストがその精神性や思想に影響を受けたことで知られています。そのため現在では、本品は歴史的メダルとしてだけでなく、エチオピア史、宗教史、そしてレゲエ文化を象徴する歴史資料としても世界中のコレクターから関心を集めています。
16.24gの金そのものが持つ価値だけではなく、1930年の歴史的な戴冠式、ソロモン王朝の伝統、20世紀フランスを代表するメダル彫刻家アンドレ・ラヴリリエによる芸術性、そして世界のレゲエ文化にも大きな影響を与えたハイレ・セラシエ1世という歴史的人物を題材とした本品は、歴史・芸術・宗教・文化・希少性が一枚に凝縮された、エチオピアを代表する歴史的メダルといえるでしょう。
ハイレ・セラシエ1世の時代を理解する上で、その前の皇帝であるメネリク2世の存在は欠かせません。
1896年のアドワの戦いでイタリア軍を破り、列強による植民地化を退けたメネリク2世の功績があったからこそ、エチオピアは独立を維持し、1930年にはハイレ・セラシエ1世の華やかな戴冠式が世界中から祝福される歴史へとつながりました。
本メダルの歴史的背景をより深く知りたい方は、ぜひこちらの動画もあわせてご覧ください。






