1742年、神聖ローマ帝国の皇帝として戴冠したカール7世を記念して製作された銀メダルです。
カール7世は、バイエルン選帝侯カール・アルブレヒトとして知られ、1742年1月に皇帝へ選出。
そして同年2月12日、フランクフルトで皇帝として戴冠しました。
このメダルは、その歴史的な戴冠を記録した一枚です。
長く続いたハプスブルク優位を崩した皇帝
神聖ローマ帝国では、長い期間にわたりハプスブルク家が皇帝位で圧倒的な存在感を持っていました。
しかし1742年、ヴィッテルスバッハ家出身のカール・アルブレヒトがカール7世として皇帝に即位します。
そのため、この戴冠は単なる一人の君主の即位ではなく、当時のヨーロッパ政治における大きな転換点でもありました。
月桂冠を戴くカール7世
表面には、月桂冠を戴いたカール7世の胸像。
周囲には皇帝としての称号が巡らされ、神聖ローマ皇帝としての権威を正面から表現しています。
肖像そのものも非常に端正で、18世紀ヨーロッパの宮廷文化を感じさせるデザインです。
皇帝冠を描いた戴冠の象徴
裏面には、皇帝としての地位を象徴する皇帝冠。
その上方には天上から差す光が表現され、戴冠という出来事そのものを象徴的に描いています。
単なる人物メダルではなく、
「皇帝が誕生した瞬間」
を一枚の銀メダルに凝縮した構成です。
戴冠の裏側で続いていた戦争
カール7世が皇帝となった時代は、オーストリア継承戦争の真っただ中でした。
戴冠という華やかな出来事の一方で、故国バイエルンをめぐる軍事的な緊張は続いていました。
カール7世自身も戴冠の時期には健康問題を抱えていたとされ、その治世は決して安定したものではありませんでした。
わずか3年後の1745年、カール7世は死去。
皇帝位は再びハプスブルク=ロートリンゲン家へと戻っていきます。
そのため、この1742年のメダルは、短期間だけ実現したヴィッテルスバッハ家の皇帝時代を象徴する一枚でもあります。
PCGS MS62〈PCGS最高鑑定〉
本個体はPCGS MS62。
PCGS Population Reportでは、Joseph/Fellner-757の1742年フランクフルト銀メダルとして、現時点でのPCGSにおける最高鑑定に位置しています。
約280年以上前の銀メダルでありながら、MS62という高い保存状態を維持している点も大きな魅力です。
このメダルの魅力
カール7世。
1742年の皇帝戴冠。
フランクフルト。
ヴィッテルスバッハ家。
そしてPCGS最高鑑定。
単なる記念メダルではなく、神聖ローマ帝国の皇帝位が大きく揺れた時代そのものを記録した一枚。
政治史・王朝史・戴冠メダルという複数のテーマを楽しめる、非常に歴史性の高い銀メダルです。
※歴史的背景に関する記述は、参考文献に基づく一般的な見方を紹介するものです。
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