1777年――アメリカ独立戦争の時代。
この銀貨を発行したのは、英国史でもよく知られるジョージ3世です。
しかし、このコインに描かれている世界はイギリスではありません。
ジョージ3世はグレートブリテン国王であると同時に、ドイツ北部のブラウンシュヴァイク=リューネブルク、いわゆるハノーファー選帝侯領の君主でもありました。
そのドイツ側の領地で発行されたのが、この24マリエングロッシェン銀貨です。
24マリエングロッシェンは、ターラー貨幣体系では2/3ターラーに相当します。
英国王がドイツで発行した銀貨
表面には、王冠を戴く大きな複合紋章。
周囲にはジョージ3世の名と、グレートブリテン王としての称号が刻まれています。
英国王でありながら、神聖ローマ帝国内ではブラウンシュヴァイク=リューネブルク公、そして選帝侯でもあった――。
18世紀ヨーロッパの複雑な王家と領邦関係が、そのまま一枚のコインに表れています。
樹木を手にした「ワイルドマン」
裏面に描かれているのは、樹木を手に立つワイルドマン(Wilder Mann/野人)。
ブラウンシュヴァイク=リューネブルクの銀貨では長く使われてきた非常に特徴的なモチーフです。
右側には額面を示す「24」、下部には造幣官記号LCR。
LCRは、1773年から1778年までゼラーフェルト造幣所を担当したLudwig Christian Rupertiを示します。
約250年前の銀貨、PCGS AU50
1777年発行ということは、今から約250年前。
PCGSではAU50の評価を受けています。
ワイルドマン、複合紋章、周囲の文字もしっかりと確認でき、銀貨らしい落ち着いた古色も魅力。
さらに当店にある、PCGS単独最高鑑定の1767年銘 PCGS AU58と並べると、同じジョージ3世・KM#347でも、造幣官がIAPからLCRへ変わっているのも面白いところです。
英国史・ドイツ諸邦・神聖ローマ帝国・ワイルドマン。
複数の歴史的テーマを一枚で楽しめる、非常に面白い2/3ターラー銀貨です。
※歴史的背景に関する記述は、参考文献に基づく一般的な見方を紹介するものです。
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